ふじの基本情報
果物ファンの皆さんこんにちは!信州東御、代々続く農家の跡取り息子りんごぼーやです。
今回はふじリンゴについて詳しくお話しさせていただきたいと思います。
ふじは青森県で育成されて品種登録された晩生のリンゴで、だいたい11月から収穫や出荷が始まります。(ふじの親など基本情報はこちらがとても参考になります!▼)
果物情報サイト、果物ナビ様 ふじの詳細
お歳暮はもちろん、プレゼントや贈り物としてたくさんの方に愛されているリンゴがふじです。
「冬になると地元のお母さんがおくってくれる」「信州の企業からお歳暮で贈られてくる」など送られる機会が多い果物なので、食べる機会が多いのもこの品種なのではないでしょうか?
そんなふじの系統、特徴や、日持ち性、なぜお歳暮にふじがオススメなのかなど果物好きな皆様へ向けた内容を、
リンゴ農家であるりんごぼーやが詳しくお話しさせていただきます。
皆さんご存知の超有名な品種「ふじ」実はとっても奥が深い品種なんです!!
ふじの系統
ふじの系統と聞いて疑問に思った方も多いかもしれません。
実は同じふじの木から、突然変異によって違う特徴を持つふじが生まれることがあります。
(この突然変異を「枝変わり」と呼びます)
そして枝変わりによって生まれたふじはそれぞれ、見た目が違う、収穫時期が異なる、味が違うなど大きな違いがあります。
枝変わりもここではお話ししきれないくらい奥が深いものなので、また別の記事で説明させていただきます。
このように枝変わりによって違う特徴を持ったふじが、「ふじの系統」として分類されているのです。
ふじって本当に奥が深いんだね…
同じふじなのに、系統が違うってことがあるんだね
ちょっと難しいけど、この系統がふじの大きな魅力の一つだよ!
ふじの系統
ふじの系統は枝変わり(突然変異)によって生まれるので、種類も少ないのではと思いきや、
結構な確率で枝変わりします。
りんごぼーやの農園でも枝変わりによっていきなり見た目が変わったふじが2~3か所あります。
(気づいていないだけでもっとあるかもしれません)
つまり枝変わりは、リンゴ農家であれば案外よくあることなのです。
その結果、当然ですがかなり多くの系統が存在しています。
世の中にはものすごい数の系統が存在しますので、中でもりんごぼーやが栽培しているふじのうち、一部の系統を紹介させていただきます▼
宮美ふじ
早い時期から真っ赤に色づき、食味も非常に優れている。
他の系統と比べて、甘味を強く感じる。
ふじ(系統不明)
りんごぼーやの祖父が何十年も前に植えたふじ。
縞模様に着色する、蜜入りが良い、酸味もしっかりしていた味が濃厚、といった特徴があるが何十年もたった現在、何の系統かは祖父の証言でしかわからない。
祖父が言うには、うちだけのオリジナル系統!?らしい
長ふ
長ふ2号、6号、12号などいろいろ。複雑です…
それぞれ特徴があるけれど今回は割愛させていただきます(T_T)
僕が栽培しているのは、宮美ふじ、系統不明ふじ、長ふ6、やたか
全部で4系統だね
りんごぼーやが栽培するふじだけで4系統もあるんだね
サンふじ、早生ふじについて
ここではふじの呼び名についての説明です。
ふじではよく使われる言葉ではありますが、具体的な意味を簡単に説明します!
サンふじ
リンゴの「袋掛け」作業をせずに育ったふじのことをサンふじと呼びます。
袋掛けをしたふじと比較して、色が淡くなるけれどその分蜜が多く入るといわれています。
早生ふじ
一般的なふじは11月頃から収穫がはじまりますが、早生ふじはそれよりも早く、早いものでは10月前から収穫がはじまるものもあります。
早生ふじは、ふじの系統のうち、収穫が本来のふじより早いものをいいます。
ひろさきふじ、昴林、やたかなどさまざまな系統があります。
サンふじ、早生ふじって、品種の名前ではないんだね!
ふじの特徴
様々な系統があることをお話しさせていただきましたが、だいたいどの系統にも当てはまる一般的なふじの味について農家目線で説明させていただきます。
味
系統によっては甘味が強い、酸味が強いなどありますが、基本的に甘酸のバランスが良いです。
甘味と酸味どちらも強く感じることができるので、濃厚な味を楽しむことができる品種です!
やっぱり長年たくさんの人に愛され続ける代表的な品種なので、食味が非常に優れています。
蜜入り
食味が優れているふじですが、蜜がたくさん入りやすい特徴もあります。
蜜は基本的には糖度が高いリンゴに入りやすいので、当然甘味の強いふじにはたくさん入りやすいです。
ではふじより糖度が低い品種には蜜は入らないのかといいますと、そんなことはありません。
僕の農園では、秋映や、明らかにふじより味が薄いシナノホッペにまで蜜がたくさん入るんだよ!!
そのほかにもこうみつなど、ふじ以上に蜜が入る品種も存在します。
少し話がそれてしまいましたが、蜜の入り方をとってもふじは一流です。
ちょうどいい量の蜜がバランスよく入っているので、蜜入りが美しいと感じることができるのもふじの魅力なのです!
ふじの日持ち
ふじは日持ち性も優れる品種です。
寒い時期に収穫されることもあってか、他の品種より長く置いておくことができますし、長期保存による味の劣化も緩やかです。
具体的にどのくらいの日持ち性があるのかは保存状態にもよるのではっきりとは言えないのですが、
寒冷地で保存方法が良ければ収穫後から翌年の二月ごろまでは食べることができます。
それでも新鮮なうちに食べるのが一番美味しいので、なるべく早めに食べてしまうのがおすすめです。
さらに、ふじの蜜は長期保存により消えてしまうことがわかっています。
これは果物が行う呼吸の影響であり自然の原理ですので、対処としては早く食べてしまうほかないのだと思います。
これは僕の体感なんだけど、蜜は年をまたいだ頃からどんどん少なくなっていく気がするよ。
長く保存ができるふじだけど、やっぱり蜜入り新鮮なうちに食べたいね!
蜜なしふじの日持ち
蜜が魅力のふじですが、実は蜜がないふじの方が日持ちが良いです。
りんごぼーやは自分でもふじを食べるため、収穫したふじを毎年土蔵(冷暗所)にて保存しています。
土蔵に保存したふじのうち、
蜜入りがないふじは翌年の2月頃までシャキシャキした食感が残っているのですが
蜜入りふじは蜜も抜けますし、食感も少しぼそぼそします。
箱でふじが届いたなど、たくさんふじがある場合は味の良い蜜入りふじを先に食べ、保存に優れる蜜無しふじを後にするのがオススメです!
りんごぼーやの観光農園こばやしでは、お客さんに少しでも美味しく食べてもらうために、
上の段に蜜入りふじ、下の段に蜜が少ないふじを入れて発送しているよ!
お歳暮
ふじの種類から特徴まで自分なりに詳しくお話しさせていただきました。
それでは数あるリンゴの中でなぜお歳暮にはふじなのか疑問に思いませんでしょうか?
なぜふじがお歳暮にこれほどまで人気なのか、実際にふじを育てて販売している農家であるりんごぼーやなりに考えてみました!
1 リンゴの中で一番遅い時期に収穫されるうえに、保存性に優れ味の劣化が少ない。
2 食味が優れている。
3 贈り物に喜ばれる見た目(蜜入り)
もちろん蜜入りも贈答として贈られてきてうれしい要因の一つではあると思いますが、大きい要因は1と2で、
12月でも新鮮で、食味が優れているからなのではないかと思います。
まとめ
リンゴ農家によるふじの解説はいかがだったでしょうか?
ふじには多くの系統があり、それぞれが個性を持っていて奥が深いこと、
ふじ自体の特徴や、日持ち性と具体的な味の変化など細かくお話しさせていただきました!
ぜひ今回の内容を活用して、自分好みのふじの食べ方、系統を探していただき、もっと美味しく果物を味わっていただけたら幸せです!
りんごぼーやでした!
りんごぼーやが育てたふじ
この記事を書いたりんごぼーやもふじを栽培しています。
ふじの平均糖度は14~16度くらいなのですが、
りんごぼーやのふじは20度を超え、高いものではなんと、糖度22度以上を記録しています!
(贈答、自家用ともに2~10キロ箱があります)
全国の果物ファンの皆様に「一度食べたら忘れられない味」とご好評いただいているよ!
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